日記/2026-05-10
雑記:「赤青ボタン選択」問題についての考察†
先日、Twitterで次のようなゲームというか社会実験というか、そんな感じのものが流れていました。
元は海外の方のTweetですが、Twitterの最近の機能拡張起因で「日本語化」されています。
tweet
https://x.com/MrBeast/status/2049273335742435617
多分上記引用だと英文になるんじゃないかと思いますので。
記事が消えたときのためのことも踏まえて、Twitterでの邦訳内容を全文コピペ。
地球上の誰もが、赤いボタンか青いボタンを押して秘密の投票を行います。50%以上の人が青いボタンを押した場合、誰もが生き残ります。50%未満の人が青いボタンを押した場合、赤いボタンを押した人だけが生き残ります。あなたはどのボタンを押しますか? 正直に。
友瀬はこれをぱっとみた時点で、いわゆる『囚人のジレンマ』のバリエーションと判断して「裏切らない青ボタンが無難」としたのですが。
あとから考えて、もうちょっと違う意味合いで取れそうだな、と思ったので考察してみることにしました。
改めて問題の整理。†
『囚人のジレンマ』自体は有名な話なので、詳しくはふれませんが。
その「ジレンマ」とはなにか、というとこんな感じ。
- あなたが「裏切った」場合、相手が裏切ろうが裏切らなかろうが「あなたが裏切らなかった場合」に比べてお得になる。
- 結果「基本的には裏切ったほうが、相手よりも有利」というかたち。
- しかし「ジレンマ」として、両方が裏切らないときがチームとしての損害は小さい。
- 具体的な例としては、「両方が相手を信じて黙秘すれば、二人とも短い刑期」「両方が裏切ると重罪扱い」というかたち。
ちなみに一般的には、『ワンショットの取引なら裏切りが最適解』『継続が見込めるなら裏切らないのが最適解』と言われています。
そりゃそうだよね:裏切る可能性がある相手とやりたくないし、信頼できる相手なら安定した「悪くない結果」が見込めるので。
で。今回の条件を表形式で整理してみると、こんな感じ。
| 世間多数派の選択 | |||
| 青 | 赤 | ||
| あなたの選択 | 青 | 全員生還 | あなた死亡 赤選択生還 |
| 赤 | 全員生還 | あなた生還 赤選択生還 | |
最初の「一般的囚人のジレンマ」を踏まえて考えると。
- 「他の人が何を選ぼうが、赤を選べば生還できる」という意味で「赤==裏切り」をとったほうが得。
- 両者が裏切らなかった場合「全員が生還」というかたち。
ということで、「裏切ったほうが得」という視点ではよく似ています。
が、以下のような違いがあるといえるでしょう。
- 投票は秘密裏なので、仮に「あなたは裏切って赤」・「でも結果は青多数派」という状態であっても周囲に「裏切った」ことが判らない。
- 上記の表でいえば、「左上」と「左下」の区別がつかないので、あなたはしれっと「裏切ってない顔」をできる。
- 一般的な囚人のジレンマでは「相手が裏切ったことが判る」ので、次回には『あなた、前に裏切ったよね?』と警戒されてしまいそもそも取引が不利になったりするわけですが。
今回の設問では、こういうデメリットがないわけです。
- 上記の表でいえば、「左上」と「左下」の区別がつかないので、あなたはしれっと「裏切ってない顔」をできる。
- 結果が赤になった場合のデメリットがないように見える。
- 一般的な囚人のジレンマでは「両者裏切りだと大損」なのですが、このボタンの場合「生存」できるので損がなさそうに見える。
つまりこの設問、通常の囚人のジレンマに比べると「より裏切ったほうが得」にみえるのです。
・・・しかし本当にそうでしょうか?
そこをちょっと深堀考察してみます。
深堀して考えてみる。†
確かに、青を選んだ場合は「赤が多数派」のときに死ぬというデメリットがあります。
でも、仮に「青が多数派」のとき、何か世界が変わるかというと、それはない。
全員が今までと同じように生きていくのですから。
例えば『全員生き残ると食料不足になっていずれ死ぬ』みたいな前提があれば、また違うのでしょうが。
ともあれ、今回の設問にはそういう「全員が生き残る」ことに対するペナルティは示されていません。
逆に、「赤が多数派」となった場合、その世界には「赤」を選んだ人しか生き残っていません。
あなたも赤を選んだ?生存おめでとう。
・・・でも本当にそうでしょうか?
友瀬はちょっと、いえ、だいぶ迷います。
なぜなら今回の設問、確かに「生き残るためには赤がベスト」なのは事実なんですが。
この考え方の前提には「赤を選ぶ人が多数いるかもしれない」という、他者に対する不信があるんですよね。
これがまだ「特定個人だと裏切られるかも」ならわかるんですが、今回は「世間一般」が対象なので、「世間に対して不信」なんです。
また同時に「赤を選ばない奴はバカだから死んでもかまわない/死んで当然」という選民的思想も見え隠れする。
両者平穏な選択肢があるのに、それでも他人を出し抜いてでも生き残りたい、という考えなんです。
「みんなが青押せば普通に今まで通りなんだから、それでいいんじゃない?」という考えとはある意味対極の。
これを踏まえると「赤が多数派」の世界は、あえて冷たく言うと『いつ裏切っても、それも些細な理由and/or理由なく裏切っても、おかしくない隣人しかいない世界』なんです。
これって、怖いですよ。正直友瀬だったら嫌です。
これ、リアル?ゲーム?†
この記事を書いてて思ったんですが。
これ、やっぱり想像力というか現実の延長という前提があるような気がしました。
先ほど「ちょっと迷う」という考えを書いたのは・・・友瀬の趣味であるボードゲームが頭によぎったから。
ボードゲームの多くは他者と奪い合う要素を含んでいて、そういうときに友瀬は加減しないと思います。
そういう意味では、この「赤青ボタン」的な条件がゲームの勝利条件にかかわる場合。
友瀬は「赤を押す」可能性がそれなりに高いと思います。
つーかそうしないと、それはそれで対戦相手に失礼ですから。
でも、リアルでは、前述のように赤はえらびたくないです。
このあたりの感覚って結構重要な気がします。
翻って、社会実験として考えてみた場合†
ちょくちょく日本上げ的な話題であがるのがこんな話:
- 災害が起きたとき、日本人はみんな整然と行動してる。配給とかには並ぶし、助け合ったりもする。
- 俺らの(日本以外の)国だったら、そうはならない。みんな我先にと押し合いへし合い、暴動になる。
この青ボタン赤ボタンって、これに通じる気がするんですね。
友瀬は別に「日本人の善性」の真偽や是非はどっちでもいいと思ってます。
もちろん現状の「整然・謙虚・助け合い」の姿は美しい・望ましいものだと思いますが。
実際問題として日本には「貧すれば鈍する」という言葉もあります:
なんだかんだ言っても日本は現在相応に豊かで、だからこそ「多数が青ボタンを押す」という状況があるのは否定できないような気がします。
あ、もちろん自分の懐がきつくても他者に尽くせる方を揶揄するつもりもないです。それはそれで素晴らしいことですし。
でも例えば、昨今ときどき話題にある「マンホールの蓋や電線などの公共物を盗む」人たち。
ああいう「社会インフラよりも自分の懐を選ぶ」ような人たちは、たぶん「赤ボタンを押す」可能性が高いんです。
今回の当該Twitterのアンケートは、5/10時点で「青が56%で多数側」の結果になっていますが。
考えてみれば当然で、「Twitterなんていう、生きるためには不要なモノ」で遊んでいる「豊かな人」がサンプリングされているから、なんです。
・・・つーかそう考えると、決して大差ではないっていうのも、ちょっとアレかも(^^;;
というわけで。†
ともあれ、これ、国とか地域とか指定して集計出来たら、またちょっと物議をかもす内容になるんじゃないかな・・・なんて思いました。
以上、とりとめもない感じ、ですが。
蛇足:「軍備」との比較的な。†
この「赤青ボタン」を、いわゆる平和憲法に充てて話している方がいました。
要は「全員青(非武装)なら全員生還なんだから、こうするのがいいよね」的な主張。
友瀬は、これは声を大にして「違う」といいます。
軍備は、設問が違うんです。軍備周りだと、こういう設問になっているんです。
- 全員が青を選んだら、全員が生還。
- 誰か1人でも赤を選んだら、赤を選んだところだけが生還。
- ここが「過半数」でないところが重要。
最初の設問では「暴れる人が少々いても、大多数によって秩序が守られる可能性がある」のに対して。
こちらでは「わずかでも暴れる人がいると、秩序が崩壊する」かたちになっているんです。
もちろんこの条件においても、お互いが信用できるんであれば、確かに「青」を選ぶのが平和だと思いますが。
残念ながら、現実はそうではないんです。
理由はどうあれ、赤を選んでごり押そうとしている人たちがいるんです。
そりゃ、赤を選ばざるを得ないよ、と。
ご意見などがあれば。

